どうも、まちだです。
『嫌われる勇気』は、岸見一郎氏と古賀史健氏によって執筆された著書です。
本書では、アドラー心理学を「青年」と「哲人」との対話形式でまとめられています。
アドラー心理学は、フロイト・ユングと並び「心理学の巨頭」と言われているそうです。
対人関係の悩みを抱えていらっしゃる方におすすめできる著書だと思います。
本記事では、『嫌われる勇気』についての解説と読んでみた感想をご紹介します。
- 本記事で分かること
- ・『嫌われる勇気』の解説
・『嫌われる勇気』を読んでみた感想
『嫌われる勇気』-自己啓発の源流「アドラー」の教え-とは
『嫌われる勇気』の基本情報についてです。
書名 :嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者 :岸見 一郎/古賀 史健
出版月 :2013年12月
出版社 :ダイヤモンド社
ページ数:296p
『嫌われる勇気』の解説
それでは、私の印象に残っている部分の解説を下記にまとめます。
・トラウマは、存在しない P28 人は怒りを捏造する P32
・全ての悩みは「対人関係の悩み」である P70
・「課題の分離」とはなにか P139
・対人関係のゴールは「共同体感覚」P178
・「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよ P270
あくまでも、私の読了後の解釈によるものです。
間違っている解釈をしているかもしれませんが、「こういう受け取り方もあるのだな」と参考程度にお考えください。
著書の見出しを引用させていただき、まとめていきます。
トラウマは、存在しない P28 /人は怒りを捏造する P32
アドラー心理学は、原因論ではなく目的論で考えています。
人間は全て何かしらの目的があって、行動に移しているということです。
アドラー心理学では、フロイトの原因論を否定しています。
フロイトの原因論とアドラーの目的論の違い
・フロイトの原因論:過去の行動が現在の結果に繋がっている
・アドラーの目的論:現在の結果を達成するために、その行動を取っている
具体例をいくつかあげます。
例1:友達から裏切られた経験がトラウマで、他人を信用できない。
原因論:トラウマが原因で、他人を信用できない。
目的論:トラウマを言い訳にして、他人を信じようとしていない。
他人を信じなければ浅い関係しか構築できず、万が一裏切られたとしても心へのダメージが減ります。
最初から、他人を信じる気がないということです。
気付いていないだけで、今のままのほうが良いと考えているということですね。
例2:大人が、ルールを守らない子どもに対して感情的に怒鳴っている。
原因論:子どもが何度も言うことを聞かないため、カッとなって怒鳴った。
目的論:相手を「威嚇して従わせよう」という目的で、怒鳴る選択をした。
怒りの感情は、人間が意図的に作り出していると書かれています。
世間には、落ち着いて間違いだけを指摘する人と怒鳴りつけるように注意する人がいると思います。
どちらも、間違いを相手に伝えることに変わりはありません。
しかし、根本的な目的が変わると状況が一変します。
カッとなってしまったと聞くことがあると思います。
この怒りの感情に突き動かされているように感じますが、実際は怒りを利用しているということですね。
全ての悩みは「対人関係の悩み」である P70
人間は、生きていく上で必ず自分以外の他者を認識しています。
この他人の存在こそが、悩むという行為に結びついているということです。
例えば、自分の性格が嫌いという悩みも、対人関係の悩みに当てはまります。
この悩みは、比較対象である他者がいるからこそ生まれるものです。
確かに、他者がいなければ悩みもなくなりそうですよね。
劣等感についても、本書で触れられています。
劣等感は、客観的な事実ではなく主観的な解釈だと述べられています。
もし劣等感を抱いているのであれば、自分自身の考え方次第で劣等感を前向きなものへと変えることができます。
必ずしも、他者から見れば劣っているわけではないということですね。
価値のない人は、いません。
アドラー心理学では、劣等感自体を否定していません。
劣等感は、努力しようとする行動の源です。
逆に劣等感コンプレックスは、努力しない言い訳に使われるものだと語られています。
例えば、家庭環境が悪く貧乏生活を強いられていたから、今でも貧乏なのだという考えが劣等感コンプレックスです。
自分の育ってきた環境と他者の育ってきた環境を比較しています。
劣等感コンプレックスは、他者と比較することで生まれるものです。
他者と比較して卑屈になっても、良いことはありませんよね。
健全な劣等感は、こうなりたいという自分との比較で生まれます。
「課題の分離」とはなにか P139
課題の分離とは、「自分の課題」と「他者の課題」を別物であると考え、自分でコントロールできる課題に対して向き合っていくことです。
例えば、自分があこがれていた会社から内定をもらえたとします。
しかし、周りの友人や家族から「その会社はやめたほうがいい」「こっちの会社の方が安定だ」と言われました。
これは、他者(友人・家族)が自分の課題に介入している状態です。
ここで他者を説得するのではなく、自分の選択を信じて突き進むことができれば、課題の分離ができていると思います。
他者からの評価を変えることは簡単ではないので、無視することが一番ということですね。
他の例を上げます。
パワハラ上司がいる会社に勤めているとします。
上司の機嫌が良いときには問題はありませんが、機嫌が悪いときは部下たちに当たり散らしています。
部下がミスをしていなくても、問答無用です。
上司の機嫌を直すことは、上司の課題であり、部下たちの課題ではありません。
部下たちは上司の機嫌を取るのではなく、さらに上の上司へパワハラについて相談し部署異動させてもらうか、転職活動を検討すれば良いということです。
つまり、他者の希望をかなえようとせずに承認欲求をなくすことができれば、自分の課題だけに集中することが出来ます。
ここまで完全に分けて考えることは難しいかもしれませんが、課題の分離ができれば対人関係の悩みが減りそうですよね。
対人関係のゴールは「共同体感覚」P178
共同体感覚とは、他者を敵ではなく仲間と見なし、その関係性の中で自分の居場所があると感じられることです。
ここでの共同体は、会社や学校などの狭い範囲ではなく、国や世界、宇宙までを共同体として指しています。
仮に、会社や学校で対人関係の悩みを抱えていたとします。
学校の先生や会社の上司に理不尽な扱いをされて、モヤモヤとしている状況です。
確かに、先生や上司に反論することは中々できることではありません。
しかし、学校や会社は小さな共同体であり、その外には別の大きな共同体が存在しています。
外に出てしまえば、自分自身と先生・上司は対等です。
反論して関係性が悪化してしまえば、その程度の関係性であったということですね。
すぐに壊れてしまう関係性を保とうとする必要はありません。
次に、他者を敵ではなく仲間と見なすことについてですが、「横の関係」が重要になってくるそうです。
劣等感は、「縦の関係」から生まれるものです。
おそらく、多くの人は縦の関係で対人関係をとらえていると思います。
縦の関係のほめる・しかるという行為は、他者を自分より低く評価しているということです。
親子の関係で親が子どもを、ほめたりしかったりすることがあります。
これは無意識に子どもを自分の思い通りに操作しようとしている行為です。
ほめる・しかるのではなく、子ども自身が自主的に子どもの課題を解決しようとするようにサポートをしなければいけません。
ほめられた側は、自分には価値がないという考えが形成されてしまうそうです。
自分に価値があると思わせるには、感謝の言葉を伝えることです。
人は感謝の言葉を聞くことによって、他者に貢献できていると感じ、そこに居場所があると思うことができます。
「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよ P270
今、現在を全力で生きることで、過去・未来などを考える隙がなくなります。
全力で今を生きていないからこそ、過去に失敗してしまったことへの後悔や起きるかも分からない未来への不安を感じるということです。
過去の出来事を引きずってしまうことは、今を真剣に生きなくてもよいという逃げ道に繋がってしまいます。
人は、過去に戻ることも未来を完璧に予測することも現時点では不可能です。
うじうじ変えようがないものについて考えても、何も変わりませんよね。
今を充実させることができれば、それで良いと書かれています。
生きていく中で、計画を立てそれが達成できたのかできなかったのかというように、結果が重視される風潮があります。
本書では、何かに挑戦したという過程が結果であると述べられています。
例えば、大学受験に向けて、勉強をしているとします。
この勉強を全力で行うことは未来の受験のためではなく、勉強をしてきた日々の1日のためにあります。
今、勉強を少しでもすることによって、何かを得られています。
もし大学受験で落ちてしまっても、不合格という結果は関係がないということです。
今を全力で生きていれば、後悔は生まれませんよね。
過去にとらわれずに、今から何ができるのかを考えることが何より重要です。
他者貢献という考えを持ち続けていれば、自由に生きて良いと書かれています。
まとめ、読んでみた感想
率直に言うと、今までの考え方を全て否定されたような気持ちになりました。
この著書は、「哲人」と「青年」との対話によって構成されています。
青年に自分を重ねながら読んでいた部分がありました。
私は、アドラーの心理学について名前は聞いたことあるけど、詳しくは知らないという状態でした。
青年と同様に、フロイトの原因論については学生時代に勉強した覚えがあります。
私自身も、過去の失敗談や過去の自分が取った行動によって、今の状況に至っているという原因論で物事を考えていました。
詳しくは思い出せませんが、何かしらの避けたい目的があって過去の出来事を言い訳に使っていたのだと思います。
まだまだ、しっくりきていない箇所が多々あります。
一度読んだだけでは、中々理解できませんよね。
しかし、このアドラー心理学を学ぶことによって、世界の見方を大きく変えられると知ることができました。
知らず知らずのうちに、他者の価値観に従って、今までの人生を歩んできたことも分かりました。
人生、今を楽しんだもの勝ちですよね。
改めて、後悔しないように日々の生活を送っていこうと思える著書でした。
対人関係や人生について悩みを抱えている方におすすめの著書です。
ぜひ、一度読んでみてください!
それでは!
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